2010年05月03日

[Novel]北森鴻『うさぎ幻化行』

[amazon]北森鴻『うさぎ幻化行』
突然この世を去ってしまった、義兄・最上圭一。優秀な音響技術者だった彼は、「うさぎ」に不思議な“音のメッセージ”を遺していた。圭一から「うさぎ」と呼ばれ、可愛がられたリツ子は、早速メッセージを聞いてみることに。環境庁が選定した、日本の音風景百選を録音したものと思われるが、どこかひっかかる。謎を抱えながら、録音されたと思しき音源を訪ね歩くうちに、「うさぎ」は音風景の奇妙な矛盾に気づく―。音風景を巡る謎を、旅情豊かに描く連作長編著者からの最後の贈りもの。
評価=★★★(3.0/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月30日

[Novel]鳥飼否宇『このどしゃぶりに日向小町は』

[amazon]鳥飼否宇『このどしゃぶりに日向小町は』
暗雲立ち込める山中のサナトリウムの前に、20年前解散した伝説的ロックバンド鉄拳の元メンバーが集結した。薬物依存症で脱退し、闘病の末亡くなった天才ギタリスト・ルビー。その遺体は即日茶毘に付され、形見の紙片には暗号めいた文字が記されていた。ルビーの死に不審を抱いたメンバーたちは真実を追って病院の門扉を叩く。それが新たな崩壊への序曲だとも知らず…迫りくる嵐が呼ぶ衝撃の結末とは―。
評価=★(1.0/5.0)
分類するならミステリなのだろうが、ミステリ度は低め。むしろ謎の研究施設に関するサスペンスといったところか。あるいはバイオレンス。
スプラッタな凄惨描写と性的な表現があり、あまり読後感がよろしくない。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月28日

[Novel]朱川湊人『太陽の村』

[amazon]朱川湊人『太陽の村』
ハワイ帰りの飛行機事故。目が覚めると、そこはド田舎の村。電気・ガス・水道なし。金太郎、桃太郎に仮面の男。田おこし、年貢、人身御供に仇討ち!?本当にどうする俺?フリーターが遭遇した究極の問い。著者新境地のノンストップ・エンタテインメント。
評価=★★★★(4.0/5.0)
ネット用語なども取り入れ、イマドキのニートな若者像をリアルに描きつつ、そのニートが非現実的な状況に放り込まれたら・・・という展開をコミカルに描き出している。
オチは予想の範囲内でどんでん返しというほどのこともないが、それに対する主人公の心境、その後の展開の描き方に、本書が単なるコミカルなエンタメ本ではない印象を受ける。
現代の若者が放り込まれた非現実的な状況。もし自分だったら、を考えさせられるリアルな心境の吐露。コミカルさに隠れた鋭さを持つ作品ではないだろうか。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月25日

[Novel]桂修司『死者の裏切り』

[amazon]桂修司『死者の裏切り』
日本の法律では、失踪してから七年間が経てば、遺体が発見されなくても死者とみなすことができる―。偶発的に夫を殺してしまった祐子。彼女は遺産を相続するために、愛人・黒沢とともに自宅の地下室に遺体を隠し、蒸発を装う。しかし、義母が雇った探偵が真実に迫ろうとする。祐子たちは探偵の目を欺くため、警察が公開している身元不明者のリストに目をつけて…。祐子は家族や探偵、警察を騙し通し、遺産を手に入れることができるのか。
評価=★★☆(2.5/5.0)
探偵役のキャラクター性が乏しく、全体的に地味な印象。
派手さはないが堅実かと問われると、設定やストーリー展開に矛盾はないものの、無理というかご都合主義が目立つ。
あっさり風味でさらりと読める、地味なB級ミステリといったところか。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月22日

[Novel]恒川光太郎『南の子供が夜いくところ』

[amazon]恒川光太郎『南の子供が夜いくところ』
島に一本しかない紫焔樹。森の奥の聖域に入ることを許されたユナは、かつて〈果樹の巫女〉と呼ばれた少女だった……。呪術的な南洋の島の世界を、自由な語りで高らかに飛翔する、新たな神話的物語の誕生!
評価=★★★(3.0/5.0)
ファンタジックな連作短編集。
やや作風を変えているのか、これまでのような鮮烈さはないものの、幻想的で魔術的な民話のようなオハナシに仕上がっている。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月17日

[Novel]羽田圭介『ミート・ザ・ビート』

[amazon]羽田圭介『ミート・ザ・ビート』
友人からホンダ・ビートを譲り受けた19歳の主人公と仲間たちの、疾走する群像小説。芥川賞候補にもなった新鋭による待望の最新刊。
評価=★☆(1.5/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月14日

[Novel]長崎尚志『アルタンタハー 東方見聞録奇譚』

[amazon]長崎尚志『アルタンタハー 東方見聞録奇譚』
父危篤の報せを受けたライターの安東貞人は、病院で出会った父の戦友だという不審な男・源田から、モンゴル捕虜収容所で囁かれた「チンギス・ハーンの黄金伝説」の話を聞かされる。半信半疑ながら彼は、平泉の伝説や文献、父の交友関係をあたる内、ある殺人事件の可能性に気づく…!世紀の奇書、マルコ・ポーロの『東方見聞録』を巡るふたつの“宝探し”。ふたりの男の“自分探し”―。歴史・伝奇サスペンス。
評価=★★☆(2.5/5.0)
著者は『20世紀少年』等で、浦沢直樹氏と共同でプロットを作成した方なんだとか。小説は処女作とのコトで、冗長な部分も多く少々読みづらい感触。
テーマは非常に好みなのだが、作り手側の知識を詰め込みすぎ(披露しすぎ)ていて、少々残念な出来。次回作に期待したいところ。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月10日

[Book]水木悦子,手塚るみ子,赤塚りえ子『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』

[amazon]水木悦子,手塚るみ子,赤塚りえ子『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』
おやじの秘密、しゃべっちゃおうか。水木しげる、赤塚不二夫、手塚治虫の娘たちが語る、父の素顔。
評価=★★★(3.0/5.0)
「ゲゲゲ」と「レレレ」は言わずもがなだが、「ららら」で手塚治虫というのが一瞬わからなかった。「鉄腕アトム」の主題歌の歌詞からとは。
漫画の神様として崇敬を集める人々も、娘から見れば父親なわけで。娘の視点で描き出される3人の漫画家像が新鮮。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月07日

[Novel]アーシュラ・K・ル=グウィン,谷垣暁美『ラウィーニア』

[amazon]アーシュラ・K・ル=グウィン,谷垣暁美『ラウィーニア』
イタリアのラティウムの王女ラウィーニアは、礼拝のために訪れた一族の聖地アルブネアの森で、はるか後代の詩人ウェルギリウスの生き霊に出会う。そして、トロイア戦争の英雄アエネーアスの妻となる運命を告げられる―古代イタリアの王女がたどる数奇な運命―叙事詩『アエネーイス』に想を得た壮大な愛の物語。SF/ファンタジー界に君臨するル=グウィンの最高傑作、ついに登場!2009年度ローカス賞(ファンタジー長篇部門)受賞作。
評価=★★★★(4.0/5.0)
『アエネーイス』をモチーフに繰り広げられる歴史叙事詩。
神話性と物語性を備えた重厚な作品。これぞまさにファンタジーといったところ。
ラノベな「ファンタジー小説」に慣れた目にはムズカシく見えるかもしれないが、高校生なら十分に読み終えることができる小説だと思う。ぜひ、ファンタジー好きな若い人に読んでもらいたいところ。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月04日

[Novel]西澤保彦『スナッチ』

[amazon]西澤保彦『スナッチ』
22歳だった。次の日、ぼくは53歳になっていた。空白の31年。ぼくは、きみは、ぼくたちは、少しは幸せだったのだろうか。彼を襲ったのは、不条理でやりきれない、人生の黄金期の収奪。あらかじめ失われた、愛しい妻との日々。おぼえのない過去を振り返る彼に、さらなる危険が迫る。
評価=★★★(3.0/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月02日

[Novel]湊かなえ『Nのために』

[amazon]湊かなえ『Nのために』
「N」と出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。すべては「N」のために―。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。『告白』『少女』『贖罪』に続く、新たなるステージ。
評価=★★★(3.0/5.0)
これまでの作品と同じく、複数の個人の視点から物語が語られ、すべてを俯瞰することで真実がわかるという形式。作者の確固としたスタイルといえばそれまでだが、ややマンネリの印象もある。
複数の個人の視点から、という構成だが、登場人物のキャラクターがやや唐突だったり妙に希薄だったりと、人物が物語を紡いでいるのではなく物語に必要な人物が登場させられていると感じてしまう部分も。
絡み合う人間模様の中で、登場人物それぞれにとっての「N」は誰なのか。登場人物それぞれの想いのやりとりを楽しむべき作品であり、物語の真相、真犯人といったものに期待すると肩透かしを食らうことになる。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月31日

[Novel]光原百合『扉守』

[amazon]光原百合『扉守』
瀬戸の海と山に囲まれた懐かしいまち・潮ノ道にはちいさな奇跡があふれている。こころ優しい人間たちとやんちゃな客人が大活躍。待望の、煌めく光原百合ワールド。
評価=★★★☆(3.5/5.0)
タイトルの読みは「とびらもり」。
架空の町「潮ノ道」を舞台にした連作短編。7編を収録。
のびやかですがすがしい空気に包まれた、どこか懐かしくて新しい、そんな印象のファンタジー。
posted by 秋芳 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月28日

[Book]白川密成『ボクは坊さん。』

[amazon]白川密成『ボクは坊さん。』
24歳、突然、住職に。
仏教は「坊さん」だけが独占するには、あまりにもったいない!
笑いあり、涙あり、学びあり!
大師の言葉とともに贈る、ポップソングみたいな坊さん生活。
評価=★★★★(4.0/5.0)
若くして寺を継ぎ、僧侶となった著者の悩みや想いが詰まった一冊。
現代の(若い)僧侶が何を考えているのか、どのように宗教と現代社会の折り合いをつけていくのか。
とにもかくにも、現代の「坊さん」の生の声は興味深い。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月23日

[Novel]浅倉卓弥『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』

[amazon]浅倉卓弥『ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ』
サニーサイドアップの目玉焼きが大好きな7歳の少女ルーシーとヘンダーソン先生。そしてセイウチのお話。奇妙で切ないファンタジーの世界で遊んでみませんか。でもいったい、なんでセイウチなんだ!?その答えは―。
評価=★★★(3.0/5.0)
言わずと知れた童話『不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)』、そしてビートルズの楽曲「Lucy in the Sky with Diamonds」へのオマージュ的作品。
大人のための童話、あるいは大人びた子どものための童話といった感じ。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月20日

[Novel]朱川湊人『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』

[amazon]朱川湊人『ウルトラマンメビウス アンデレスホリゾント』
ウルトラマンたちは、なぜ命を賭けて戦うのだろう。異星人である私たちのために。若き地球防衛隊員を通して描く、ウルトラマンメビウスの活躍と葛藤。一級品のSF小説として描かれた、ファン必読の新たな「ウルトラマン」像。
評価=★★★☆(3.5/5.0)
テレビ『ウルトラマンメビウス』にて著者が担当した脚本3話分をノベライズしたものに、2話を加えた3話構成の連作短編集。
朱川氏がメビウスの脚本を担当したというのは知らなかったが、どれもウルトラマンへの愛にあふれたおり、往年のファンもニヤリとさせること請け合いの一冊。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月16日

[Novel]新堂冬樹『ブラック・ローズ』

[amazon]新堂冬樹『ブラック・ローズ』
実の父親を自殺に追い込んだドラマ界の帝王・仁科を蹴落とすため、テレビ制作会社のプロデューサー・唯は、累計発行部数500万部を超える大ベストセラー小説のドラマ化を画策した。あまりにも切なく美しい復讐劇が幕を開ける―。
評価=★★★(3.0/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月13日

[Novel]竹本健治『ツグミはツグミの森』

[amazon]竹本健治『ツグミはツグミの森』
夏休み―僕らミラノ高校の天文部一同は、一週間の天体観測合宿を予定していた。あの美しくも不吉なツグミの森で。だが、そのとき刻々と超大型台風が接近していた。そして悲劇が幕をあける。僕らの声は吹き荒ぶ嵐に掻き消されてしまうのだろうか。
評価=★★★☆(3.5/5.0)
学園もののミステリだが、昨今ありがちなライトな感じではなく重苦しい雰囲気につつまれている。
オチは、どちらかというとありふれた感じで目新しさはないが、そこまでの物語に引き込むパワーが素晴らしい。
読後感が爽やかとは言いがたく、やや酷い話であるのが残念なところ。
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月10日

[Novel]池永陽『夢ほりびと』

[amazon]池永陽『夢ほりびと』
朽ち果てた洋館に流れてきた手負いの老若男女たち。リストラ・サラリーマン、リストカット・女子高生たちの珍妙な共同生活を描いた好篇
評価=★★☆(2.5/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月04日

[Novel]滝田務雄『田舎の刑事の闘病記』

[amazon]滝田務雄『田舎の刑事の闘病記』
部下の白石の無能ぶりに卒倒し、病院に運ばれた黒川刑事。折しも入院病棟では、不審者が頻繁に病室に侵入しているらしい形跡が見られ…。表題作「田舎の刑事の闘病記」をはじめ六編を収録。田舎でだって難事件は起こる。鬼刑事黒川鈴木、今日も奮闘中。猿を追いかけ、蜂に追いかけられ、奥さんと台湾旅行に出かけて散々な目にあう黒川、今回は殺人事件にも遭遇します。お待たせしました、ミステリーズ!新人賞受賞作家による、待望の脱力系ミステリ・シリーズ第二弾。
評価=★★★(3.0/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月01日

[Novel]柴田よしき『貴船菊の白』

[amazon]柴田よしき『貴船菊の白』
秋になったら、いつかあなたが話してくれた、京都の紅葉を見に連れて行って―亡き妻が語ったその地は刑事になって初めての事件で、犯人に自殺された因縁の場所だった。刑事を辞めた男が十五年ぶりに訪れたとき、そこに手向けられていた貴船菊の花束。白く小さな花は、思いもよらぬ真相を男に告げる…。美しい京都を舞台に、胸に迫る七つの傑作ミステリー。
評価=★★★(3.0/5.0)
posted by 秋芳 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書記録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。